一人の合同会社でも社会保険に入るのか。会社設立後の加入義務を解説
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この解説は、一人で合同会社の会社設立をした人、あるいはこれからしようとしていて、社会保険がどうなるのかを知りたい人に向けています。従業員がいないのだから関係ないのでは、と考える人が多いのですが、実際には加入することになります。ここではその理由と、実際にどれだけの負担になるのかを具体的に書きました。法人成りを検討している個人事業主にも読んでもらいたい内容です。
一人でも社会保険に入るのか。会社設立後の加入義務を解説

【ここでわかること】
あります。法人は人数にかかわらず強制適用です。
結論から書くと、代表社員が一人だけの合同会社でも、健康保険と厚生年金保険に加入することになります。
健康保険と厚生年金保険は、会社(事業所)単位で適用されます。法人の事業所は、業種や従業員数にかかわらず強制適用事業所とされています。つまり、法人であるというだけで適用の対象になるということです。
この扱いは、従業員を雇っているかどうかとは関係ありません。代表社員が自分ひとりで、ほかに誰も雇っていなくても、その代表社員自身が被保険者になります。合同会社の会社設立をしたら、この手続きは避けられません。
個人事業とは扱いが違う
個人事業の場合、常時5人以上の従業員がいる一定の業種でなければ強制適用にはなりません。事業主自身は被保険者になれず、国民健康保険と国民年金に加入します。法人になるとこの扱いが変わり、代表者も被保険者になります。法人成りで生活が変わる大きな点の一つです。
会社設立の相談でよく聞かれるのが、「合同会社なら社会保険に入らなくてもよいのでは」という質問です。そんなことはありません。強制適用かどうかは法人であるかどうかで決まるので、合同会社でも株式会社でも扱いは同じです。会社設立の形を選ぶときに、社会保険の負担を理由に合同会社を選んでも意味がない、ということになります。
ただし、役員報酬をまったく支払っていない場合は、被保険者にならないことがあります。報酬がなければ保険料の計算のしようがないためです。とはいえ、報酬をゼロにしたまま事業を続けるのは現実的ではないので、通常は加入することになると考えてください。
| # | 要点 |
|---|---|
| 1 | 結論から書くと、代表社員が一人だけの合同会社でも、健康保険と厚生年金保険に加入することになります。… |
| 2 | 健康保険と厚生年金保険は、会社(事業所)単位で適用されます。法人の事業所は、業種や従業員数にかかわらず強制適用事業所とさ… |
| 3 | この扱いは、従業員を雇っているかどうかとは関係ありません。代表社員が自分ひとりで、ほかに誰も雇っていなくても、その代表社… |
| 4 | 会社設立の相談でよく聞かれるのが、「合同会社なら社会保険に入らなくてもよいのでは」という質問です。そんなことはありません… |
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):日本年金機構|適用事業所と被保険者/日本年金機構
保険料はいくらになるかを、会社設立後の負担として解説

【ここでわかること】
報酬額で決まります。会社と本人で半分ずつ負担します。
保険料は、役員報酬の額をもとに決まります。報酬月額を区分に当てはめて標準報酬月額を求め、それに保険料率を掛けて計算します。
重要なのは、保険料を会社と本人で半分ずつ負担するという点です。労使折半といいます。一人だけの合同会社では、会社のお金と自分のお金の両方から出ていくことになります。実質的には同じ財布から出ているように感じられますが、会計上は別々です。
| 健康保険料 | 標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。料率は加入している健康保険によって、また都道府県によって異なります。 |
|---|---|
| 厚生年金保険料 | 標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。上限となる等級があります。 |
| 介護保険料 | 40歳から64歳までの人が対象です。健康保険料に上乗せされます。 |
| 子ども・子育て拠出金 | 会社が負担します。厚生年金保険の標準報酬月額をもとに計算されます。 |

| 項目 | 数字 | 前提 |
|---|---|---|
| 新規適用届の期限 | 5日 | 事実発生から。設立後で最短 |
| 保険料の負担 | 1/2ずつ | 会社と本人で折半する |
| 役員報酬を決める期限 | 3か月 | 事業年度開始の日から |
| 介護保険の対象 | 40歳から | 64歳まで健康保険料に上乗せ |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
具体的な金額は、日本年金機構が公表している保険料額表で確認できます。都道府県ごとに表が用意されているので、自分の事業所の所在地の表を見てください。報酬月額を当てはめれば、会社負担分と本人負担分が分かります。
役員報酬を決める前に保険料を計算する
会社設立の直後に役員報酬を決めるとき、税金のことだけを考えて金額を決める人がいます。しかし社会保険料は報酬額に比例して増えるので、報酬を高く設定するとそのぶん保険料も重くなります。しかも会社負担分と本人負担分の両方がかかります。報酬額の候補をいくつか出して、それぞれの保険料を計算してから決めてください。
なお、保険料には上限があります。厚生年金保険には等級の上限が設けられているため、報酬がある水準を超えると保険料はそれ以上増えません。健康保険にも上限の等級があります。ただし合同会社の会社設立の直後に、その水準の報酬を設定することはあまりないでしょう。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社は厚生年金の加入義務がある?/株式会社マネーフォワード
国民健康保険と比べてどうかを、会社設立の判断材料として解説

【ここでわかること】
負担は増えることが多いものの、給付の内容も変わります。
個人事業から合同会社へ法人成りすると、国民健康保険・国民年金から、健康保険・厚生年金へ切り替わります。何がどう変わるのかを整理します。

| # | 国民健康保険・国民年金 | 健康保険・厚生年金 |
|---|---|---|
| 1 | 保険料は全額自己負担 | 会社と本人で折半 |
| 2 | 国民年金は定額 | 報酬に比例して保険料が決まる |
| 3 | 扶養という考え方がない | 被扶養者の制度がある |
| 4 | 傷病手当金は原則ない | 傷病手当金や出産手当金がある |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
負担の面では、法人になると重くなることが多くなります。会社負担分があるためです。ただし会社負担分は法人の経費になるので、税務上の扱いは変わります。
給付の面では、厚生年金は国民年金に上乗せされる形なので、将来受け取る年金額は増えます。また、健康保険には傷病手当金や出産手当金があり、働けなくなったときの備えになります。国民健康保険にはこうした給付が原則としてありません。
扶養の扱いも変わります。健康保険には被扶養者の制度があり、配偶者や子どもを扶養に入れることができます。人数が増えても保険料は変わりません。国民健康保険は世帯の人数に応じて保険料が計算されるので、家族が多い場合はここで差が出ます。
つまり、単純に負担だけを比べるのではなく、給付の内容と家族構成まで含めて考える必要があります。合同会社の会社設立を検討している段階なら、いまの国民健康保険料と、法人になった場合の保険料を並べて比べてみてください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):弥生|合同会社設立後は社会保険への加入義務がある/弥生株式会社
加入の手続きと期限を、会社設立の直後の作業として解説

【ここでわかること】
事実発生から5日以内。設立後でいちばん短い期限です。
会社設立の後の手続きのなかで、もっとも期限が短いのが年金事務所への届出です。
健康保険・厚生年金保険の新規適用届は、事実発生から5日以内に提出することとされています。登記が完了して登記事項証明書を取るまでに数日かかることを考えると、かなり厳しい期限です。
| # | やること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事業所が適用を受けることになったときに提出します。登記事項証明書などを添付します。 |
| 2 | 被保険者資格取得届 | 加入する人それぞれについて提出します。代表社員本人の分も必要です。 |
| 3 | 被扶養者(異動)届 | 配偶者や子どもを扶養に入れる場合に提出します。 |
| 4 | 国民年金第3号被保険者関係届 | 配偶者を扶養に入れる場合に、あわせて提出することがあります。 |
提出先は、事業所の所在地を管轄する年金事務所または事務センターです。窓口へ持参するほか、郵送や電子申請でも提出できます。
添付書類としては、登記事項証明書が求められます。発行から一定期間内のものという条件があるので、会社設立の登記が完了したら早めに取っておいてください。
書類の準備は登記と並行して進める
5日という期限を守るには、登記の完了を待ってから準備を始めるのでは間に合いません。書類の様式をダウンロードして、書ける部分は先に埋めておく。役員報酬の額も決めておく。そこまでやっておけば、登記事項証明書を手にした日に提出まで進めます。合同会社の会社設立では登記が早く終わることが多いので、なおさら準備が効きます。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):日本年金機構|新規適用の手続き/日本年金機構
役員報酬と保険料の関係を、会社設立後の設計として解説

【ここでわかること】
報酬を決めると保険料が決まります。両方を見て設計します。
社会保険料は役員報酬の額で決まるので、報酬をいくらにするかが実質的に保険料を決めることになります。
役員報酬は、原則として事業年度開始の日から3か月以内に決めて、その事業年度中は同じ額を払い続けます。期の途中で自由に変えることはできません。会社設立の直後は売上の見通しが立てにくい時期ですが、ここで決めた額が1年間効いてきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報酬を低くする | 社会保険料は抑えられます。ただし生活費が足りなくなる、将来の年金額が減るという面があります。 |
| 報酬を高くする | 会社の利益は減るので法人税は抑えられますが、個人の所得税と社会保険料が増えます。 |
| 会社の利益とのバランス | 会社に利益を残すと法人税がかかり、報酬として出すと所得税と社会保険料がかかります。どちらが有利かは金額によります。 |
| 変更のタイミング | 期の途中では原則変えられません。次の事業年度の開始から3か月以内が変更の機会になります。 |
この設計は、税金と社会保険の両方を見ないと最適な形になりません。税理士に相談すると、いくつかの金額で試算してもらえることがあります。合同会社の会社設立の直後に一度相談しておくと、その後の判断がしやすくなります。
注意したいのは、社会保険料を抑えたいという理由だけで報酬を極端に低くすることです。生活が回らなくなりますし、会社から個人へお金を移す手段が限られてしまいます。会社の口座から生活費を出すことはできないので、報酬の額は生活に必要な水準を下回らないようにしてください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):経営サポートプラスアルファ|合同会社でも社会保険は必須/経営サポートプラスアルファ
加入しなかった場合に何が起きるかを解説する

【ここでわかること】
放置しても解決しません。遡って加入することになります。
手続きをせずに放置した場合、どうなるのかも書いておきます。
法人は強制適用なので、届出をしていなくても加入義務そのものはあります。年金事務所は法人の登記情報を把握できる立場にあるため、未加入の状態はいずれ把握されます。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 年金事務所から加入を促す文書や電話が来ます。 |
| 2 | 応じない場合、立ち入り検査が行われることがあります。 |
| 3 | 最終的には職権による適用が行われ、遡って保険料を納めることになります。 |
| 4 | 悪質な場合には、法律上の罰則の対象になり得ます。 |
| 5 | 遡って納める保険料は、まとまった金額になります。 |
資金繰りが厳しいという理由で先延ばしにする人がいますが、遡って請求される金額のほうが重くなります。会社設立の直後で余裕がないなら、役員報酬を低めに設定して保険料を抑えるほうが現実的です。
報酬をゼロにすれば加入しなくてよいのか
役員報酬をまったく支払わない場合、報酬から保険料を計算できないため被保険者にならないことがあります。ただしこれは「報酬がないから」という状態であって、加入を回避する手段として使えるものではありません。実際には生活のために報酬が必要になるはずです。判断に迷う場合は、年金事務所か社会保険労務士に確認してください。
また、未加入のままだと、健康保険証がない状態になります。国民健康保険に入り続けているつもりでも、法人の代表者は本来そちらの対象ではありません。医療機関にかかったときに問題になることがあるので、放置は避けてください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):起業ログ|合同会社の社会保険制度から学ぶ加入義務と未加入時のペナルティ/株式会社ウィルゲート
加入後の手続きを、会社設立後の運用として解説する

【ここでわかること】
毎月の納付、算定基礎届、報酬が変わったときの届出。
加入したあとも、定期的な手続きがあります。会社設立の直後に覚えておくと、あとで慌てません。
| 毎月の保険料の納付 | 翌月末までに納めます。口座振替を設定しておくと手間が減ります。 |
|---|---|
| 算定基礎届 | 毎年7月に提出します。4月から6月の報酬をもとに、9月からの標準報酬月額が決まります。 |
| 月額変更届 | 報酬が大きく変わったときに提出します。一定の要件を満たす場合に必要です。 |
| 賞与支払届 | 賞与を支払ったときに提出します。賞与にも保険料がかかります。 |
| 被保険者の増減の届出 | 人を雇ったとき、辞めたときに提出します。 |
一人だけの合同会社であれば、手続きの回数は限られます。毎月の納付と、年に一度の算定基礎届が基本になります。役員報酬を毎年同じ額にしているなら、月額変更届が必要になる場面も少なくなります。
電子申請を使えば、窓口へ行かずに手続きできます。GビズIDというアカウントを取得すると、社会保険の手続きを電子で行えるようになります。合同会社の会社設立の直後に取得しておくと、その後の手続きが楽になります。
納付を忘れると督促の対象になります。口座振替にしておけば、うっかり払い忘れるということはなくなります。会社設立の直後に法人口座を開いたら、社会保険料の口座振替の手続きもあわせて済ませておくと安心です。毎月の作業が一つ減ります。
手続きが煩雑に感じる場合は、社会保険労務士に依頼するという選択もあります。人を雇うようになると手続きが増えるので、その段階で検討する会社が多いようです。一人のうちは自分でやって、従業員が増えたら任せるという進め方が現実的です。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):社労士クラウド|合同会社設立後の社会保険加入は義務?/社労士クラウド
まとめ|一人の合同会社の会社設立と社会保険

【ここでわかること】
法人は強制適用。報酬を決める前に保険料を計算する。
この解説の内容をまとめます。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 代表社員が一人だけの合同会社でも、健康保険と厚生年金保険に加入します。法人は強制適用です。 |
| 2 | 保険料は役員報酬の額で決まり、会社と本人で半分ずつ負担します。 |
| 3 | 国民健康保険・国民年金と比べると、負担は増えることが多いものの、給付の内容も手厚くなります。 |
| 4 | 新規適用届の期限は、事実発生から5日以内です。設立後の手続きでいちばん短い期限です。 |
| 5 | 役員報酬は事業年度開始から3か月以内に決めて、その期は変えられません。保険料も同時に決まります。 |
| 6 | 加入せずに放置しても、いずれ遡って納めることになります。先延ばしにする意味はありません。 |
| 7 | 加入後は、毎月の納付と年1回の算定基礎届が基本の作業になります。 |
合同会社の会社設立を考えるときに、社会保険は必ず計算に入れてください。税金より先に、毎月の固定費として効いてきます。役員報酬の候補をいくつか出して、それぞれの保険料を保険料額表で確認する。この作業を会社設立の前にやっておくと、後で驚かずに済みます。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):日本年金機構|適用事業所と被保険者/日本年金機構
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
掲載順は優劣ではありません。並び順に意味はなく、いずれも合同会社の会社設立を調べるときに参考になるページとして挙げています。
【最後に】
社会保険は、法人成りや会社設立の判断でいちばん見落とされやすい部分です。税金の計算ばかりに目が行きがちですが、毎月出ていく金額としては社会保険料のほうが大きいことも珍しくありません。役員報酬を決める前に、その額なら保険料がいくらになるのかを必ず計算してください。それをしておけば、あとで資金繰りに驚かずに済みます。
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