合同会社のメリットとデメリット。会社設立を決める前に両方を解説
合同会社commit 合同会社FIELD共同編集部が編集しています。合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら執筆しました。金額や期限は執筆時点のものです。

この解説は、合同会社という形があることは分かったうえで、本当にそれを選んでよいのか決めかねている人に向けています。会社設立の情報はメリットばかりを並べたものと、逆にデメリットを強調したものに分かれがちで、どちらを信じればよいのか分かりにくくなっています。ここでは両方を同じ分量で扱い、どんな条件のときにどちらが重くなるのかまで書きました。
合同会社のメリットを会社設立の費用から解説する

【ここでわかること】
登録免許税が最低6万円、定款認証が不要。ここが最も分かりやすい差です。
合同会社を選ぶ理由として最初に挙がるのが費用です。ただ「安い」で終わらせると判断を誤るので、何がいくら違うのかを分けて見ていきます。
会社設立のときに必ずかかる法定費用は、登録免許税と定款まわりの2つです。合同会社の設立登記の登録免許税は、資本金の額に1000分の7を掛けた金額で、それが6万円に満たないときは6万円になります。資本金が857万円あたりを超えると計算した額のほうが大きくなりますが、それ以下なら6万円で固定です。株式会社は同じ計算で最低15万円ですから、この時点で9万円の差がつきます。

| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 合同会社(電子定款) | 60,000円 | 登録免許税のみ |
| 合同会社(紙の定款) | 100,000円 | 登録免許税+印紙4万円 |
| 株式会社(電子定款) | 202,000円 | 登録免許税+認証手数料など |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
もう一つが定款です。株式会社は公証人による認証が必要で、その手数料がかかります。合同会社は認証そのものが不要なので、この費用も、公証役場へ出向く手間も発生しません。会社設立をひとりで進める人にとっては、この「出向かなくてよい」という点が金額以上に効きます。
紙で作るか電子で作るかで4万円動く
定款を紙で作ると、印紙税法上の第6号文書として収入印紙が4万円必要です。電子ファイルで作れば課税文書にあたらないため、この4万円はかかりません。合同会社の会社設立でいちばん大きい節約はここです。ただし電子定款には電子署名の環境が必要で、そのために機材やソフトをそろえると4万円を超えてしまうこともあります。1社だけ作るなら、専門家に依頼して電子定款にしてもらうほうが安く済む場合があります。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):三菱UFJ銀行|会社設立の費用はいくらかかる?/株式会社三菱UFJ銀行
作ったあとの手間が軽いという合同会社のメリット

【ここでわかること】
決算公告がなく、役員の任期もない。毎年の作業が減ります。
会社設立の費用は一度きりですが、維持にかかるものは毎年続きます。長く続けるつもりなら、こちらのほうが重要です。
決算公告の義務がない
株式会社には、決算の内容を公告する義務があります。官報に載せる場合の掲載費は毎年かかりますし、そもそも掲載を忘れると過料の対象になり得ます。合同会社にはこの義務がありません。会社設立のあとに増える定例作業が、そのぶん一つ減ります。
役員の任期がなく、重任の登記が発生しない
株式会社の取締役には任期があり、任期が満了するたびに重任の登記が必要です。この登記にも登録免許税がかかりますし、忘れていると長期間放置されて登記官の職権で解散扱いになることすらあります。合同会社の業務執行社員には任期の定めがないため、この一連の作業自体がありません。

| 項目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 決算公告 | 義務なし | 毎年必要 |
| 役員の任期 | 定めなし | 原則あり |
| 重任の登記 | 不要 | 任期ごとに必要 |
| 株主総会 | 仕組みがない | 開催と議事録 |
| 決算・申告 | 必要 | 必要 |
| 法人住民税の均等割 | 赤字でも必要 | 赤字でも必要 |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
誤解のないように書いておくと、決算と税務申告はどちらの形でも必要です。赤字であっても法人住民税の均等割はかかります。合同会社にすれば会社としての義務が消えるわけではなく、株式会社に特有の手続きがないというだけです。
もう少し具体的に見てみます。株式会社で役員の任期を最長の10年に設定した場合でも、10年ごとに重任の登記が発生します。このときの登録免許税は資本金1億円以下なら1万円で、司法書士に頼めばその報酬も乗ります。決算公告を官報でするなら、掲載費が毎年かかります。10年で合計すると、会社設立のときの差額を上回ることも珍しくありません。合同会社の会社設立を選ぶ人が「設立費用より維持費で選んだ」と言うのは、この計算をしているからです。
ただし、手続きが少ないことは、記録が残りにくいことでもあります。株主総会や取締役会という節目がないぶん、誰がいつ何を決めたのかが曖昧になりがちです。合同会社でも、重要なことを決めたら書面に残す習慣は持っておいたほうがよいでしょう。会社設立の直後は一人で決められても、人が増えたときに効いてきます。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):HT税理士法人|合同会社のメリット7つを徹底深掘り/HT税理士法人
利益配分と意思決定の自由度という合同会社のメリット

【ここでわかること】
出資額の比率にしばられない配分ができます。複数人でやるときに効きます。
ここは一人で会社設立をする場合には実感しにくく、複数人でやる場合に大きく効いてくるメリットです。
株式会社では、利益の配当は原則として持っている株式の数に応じます。100万円出した人と50万円出した人では、受け取る配当も2対1になるのが基本です。合同会社では、定款で定めれば出資額の比率と違う配分にできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資金を出す人と手を動かす人が違うとき | 出資は少ないが実務の大半を担う人に、多めに配分するといった設計ができます。 |
| 技術やノウハウを持ち込む人がいるとき | 金銭以外の貢献を配分に反映させやすくなります。定款に書いておくことが前提です。 |
| 段階的に配分を変えたいとき | 定款を変更すれば配分の定めも変えられます。ただし変更には社員全員の同意が必要です。 |
意思決定についても同じことが言えます。株式会社は株主総会を開いて決議するという段取りを踏みますが、合同会社にはその仕組みがありません。社員が集まって合意すればそれで足ります。会社設立の直後は動きの速さが価値になる場面が多いので、ここを重く見て合同会社を選ぶ人もいます。
自由であることは、決めておかないと危ういということ
合同会社の自由度は、裏を返せば「法律が決めてくれない」ということです。株式会社なら会社法が決め方を用意していますが、合同会社では定款に書いていないことは原則として社員全員の同意が必要になります。人数が増えたときにこれが動けなくなる原因になります。会社設立の段階で、業務執行社員を誰にするか、どこまでを多数決にするかを定款に落としておいてください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):freee|合同会社とは?特徴や設立するメリット・デメリット/フリー株式会社
合同会社のデメリット。知名度と資金調達の壁を解説する

【ここでわかること】
上場できない、投資家から集めにくい、相手によっては説明が必要。
ここからはデメリットです。会社設立の情報では控えめに書かれがちですが、当てはまる人にとっては決定的な話になります。
| # | やること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 株式を発行できないため、上場する道がない | 将来的に株式市場での資金調達を考えているなら、どこかの時点で株式会社へ組織変更することになります。変更には費用と時間がかかります。 |
| 2 | 投資家からの出資を受けにくい | ベンチャーキャピタルなどは株式を取得して投資する仕組みで動いています。合同会社はその形に合いません。持分の譲渡にも社員の同意が要ります。 |
| 3 | 取引先によっては株式会社を求められる | 官公庁の入札や大企業の取引で、株式会社であることが条件になっている場合があります。数は多くありませんが、当たると避けようがありません。 |
| 4 | 知名度が低く、説明の手間がかかる | 2006年にできた形なので、業種によっては相手が知らないことがあります。悪いことではありませんが、毎回説明するのは地味に負担です。 |
| 5 | 採用で不利になることがある | 求職者が会社の形を気にするかどうかは業種によります。気にする層を採りたいなら、考慮に入れる必要があります。 |
このうち上場と投資家からの出資は、当てはまるなら会社設立の時点で株式会社を選ぶべき理由になります。あとから変えられるとはいえ、組織変更には官報公告や登記が必要で、それなりの出費と時間がかかるからです。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):日本M&Aセンター|合同会社とは?特徴、メリット・デメリット/株式会社日本M&Aセンター
社員が増えたときに出てくる合同会社のデメリット

【ここでわかること】
原則は全員一致。定款に決め方を書いていないと、動けなくなります。
一人で会社設立をするなら関係ありませんが、複数人でやる場合、あるいは将来的に社員を増やす可能性がある場合には、必ず読んでおいてください。
合同会社では、定款の変更をはじめとする重要事項は、原則として社員全員の同意が必要です。2人のときは話し合えば済みますが、3人、4人と増えて意見が割れると、誰か一人が反対しただけで何も決まらなくなります。株式会社のように「過半数」や「3分の2以上」という枠が用意されていないので、この状態を自力で抜け出す方法が定款にしかありません。
| 業務執行社員を限定する | 全員が業務を執行するのではなく、特定の人だけが執行するように定款で定められます。日常の判断が速くなります。 |
|---|---|
| 代表社員を決める | 対外的に会社を代表する人を1人に絞れます。決めない場合は業務執行社員の全員が代表になります。 |
| 決議の要件を緩める | 定款で定めれば、一定の事項について多数決にできます。何を緩めるかは慎重に決めてください。 |
| 持分の譲渡のルールを書く | 誰かが抜けるときにどうするかを先に決めておくと、もめる場面が減ります。 |
会社設立の段階でここまで決めるのは面倒に感じますが、あとから定款を変えるにも全員の同意が要るということを思い出してください。関係が良好なうちに書いておくのが、いちばん安く済むやり方です。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):佐野伸太郎税理士事務所|株式会社と合同会社のメリット・デメリット/佐野伸太郎税理士事務所
税金の面で合同会社と株式会社に差はあるか

【ここでわかること】
法人税の扱いは同じ。差が出るのは設立費用と維持費のほうです。
「合同会社のほうが税金が安い」という言い方を見かけますが、これは正確ではありません。法人税の計算のしかたは、合同会社でも株式会社でも同じです。
法人税は所得に対してかかり、資本金1億円以下の普通法人であれば軽減税率の適用があります。この扱いに会社の形による違いはありません。法人住民税も法人事業税も、会社の形ではなく所得や資本金の額で決まります。会社設立のときに合同会社を選んだからといって、毎年の税金が安くなるわけではないのです。
差が出るのは税金ではなく費用のほう
合同会社が有利なのは、設立時の登録免許税と定款認証、そして維持にかかる決算公告と重任登記です。いずれも税金というより手続きの費用です。「法人にすると節税になる」という話は、個人事業と法人の比較であって、合同会社と株式会社の比較ではありません。ここを混同したまま会社設立を進めると、期待していた効果が出なくて戸惑うことになります。
個人事業と比べた場合の話は別にあります。所得が一定の水準を超えると、個人の所得税の累進税率より法人税率のほうが低くなる領域が出てきます。役員報酬を経費にできること、家族への給与の扱い、決算期を選べることなど、法人ならではの選択肢も増えます。ただしこれは合同会社に限った話ではなく、法人であることによる違いです。
なお、資本金を1000万円以上にすると、設立1期目から消費税の課税事業者になります。これも会社の形とは関係なく、資本金の額で決まります。会社設立のときの資本金をいくらにするかは、税務の観点からも考えておいてください。
税額そのものではなく、税務にかかる手間の面では違いが出ます。株式会社は株主総会の議事録や役員変更の登記といった書類が増えるため、税理士や司法書士に払う費用が上乗せされやすくなります。合同会社の会社設立を選ぶと、こうした周辺の作業が減るぶん、専門家に頼む範囲を絞りやすくなります。ここも税金そのものの話ではありませんが、毎年出ていくお金という意味では同じです。
逆に、合同会社だからといって税務署の扱いが軽くなるということもありません。法人設立届出書の提出期限は設立の日以後2か月以内で、これは株式会社と同じです。青色申告の承認申請書も、設立の日以後3か月を経過した日と当該事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までに出す必要があります。合同会社の会社設立を済ませたあとの税務のスケジュールは、株式会社とまったく同じだと考えておいてください。
| # | 要点 |
|---|---|
| 1 | 「合同会社のほうが税金が安い」という言い方を見かけますが、これは正確ではありません。法人税の計算のしかたは、合同会社でも… |
| 2 | 法人税は所得に対してかかり、資本金1億円以下の普通法人であれば軽減税率の適用があります。この扱いに会社の形による違いはあ… |
| 3 | 個人事業と比べた場合の話は別にあります。所得が一定の水準を超えると、個人の所得税の累進税率より法人税率のほうが低くなる領… |
| 4 | なお、資本金を1000万円以上にすると、設立1期目から消費税の課税事業者になります。これも会社の形とは関係なく、資本金の… |
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):国税庁|No.5759 法人税の税率/国税庁
迷ったときの決め方。会社設立の判断を3つの問いに落とす

【ここでわかること】
外部資金・取引先の条件・将来の上場。この3つで大半が決まります。
ここまでの内容を、実際に使える判断の形に落とします。次の3つの問いに答えてみてください。
- 1数年以内に、投資家やベンチャーキャピタルから資金を入れる予定があるか。あるなら株式会社です。
- 2取引したい相手が、株式会社であることを条件にしているか。しているなら株式会社です。
- 3将来、株式市場への上場を目指すか。目指すなら株式会社です。
3つとも「いいえ」なら、合同会社で会社設立をして問題ありません。自己資金と売上の範囲で事業を回していくつもりなら、合同会社の軽さがそのまま利点になります。

| # | 確認すること | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 外部からの出資を受ける予定がない | 自己資金と売上で回していく |
| 2 | 取引先から株式会社を条件にされていない | 実際に取引する相手に確認する |
| 3 | 上場を目指していない | 目指すなら最初から株式会社が早い |
| 4 | 設立と維持の費用を抑えたい | 登録免許税と決算公告の差が効く |
| 5 | 意思決定を速くしたい | 株主総会という段取りがない |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
どちらとも言い切れない場合は、合同会社で始めて、必要になったときに株式会社へ組織変更するという順番も選べます。逆方向、つまり株式会社から合同会社への変更も可能です。会社設立の選択は取り返しがつかないものではない、という点は覚えておいてください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社とは?/株式会社マネーフォワード
まとめ|合同会社のメリットとデメリットをどう重みづけるか

【ここでわかること】
性質そのものより、自分の事業でどれが効くかで決まります。
最後に、この解説で扱った内容を整理します。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 会社設立の費用は合同会社のほうが安い。登録免許税が最低6万円で、定款認証が不要になるため。 |
| 2 | 維持にかかる手間も軽い。決算公告と役員の重任登記がないので、続けるほど差が開く。 |
| 3 | 利益配分と意思決定を定款で自由に設計できる。複数人でやる場合に効く。 |
| 4 | その代わり、上場できず、投資家からの出資には向かない。取引先によっては株式会社を求められる。 |
| 5 | 社員が増えると全員一致の原則が足かせになる。定款に決め方を書いておくことで避けられる。 |
| 6 | 税金の計算そのものに会社の形による違いはない。差が出るのは設立費用と維持費のほう。 |
合同会社の会社設立が向いているかどうかは、こうした性質のうちどれが自分の事業で効くかによります。3つの問いに答えて方向が決まったら、次は流れと費用の解説へ進んでください。判断がつかない点が残ったときは、司法書士や税理士に一度相談すると、自分の状況に即した答えが返ってきます。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):SOVA|合同会社を設立するメリット・デメリット/SOVA
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掲載順は優劣ではありません。順位づけではないので、気になる見出しのものから見てください。合同会社の会社設立の理解が進みます。
外国人が法人を作る場合に、2つの形態のどちらを選ぶかを比較しています。
【最後に】
メリットとデメリットは、それ自体に絶対的な重みがあるわけではありません。同じ「知名度が低い」という性質でも、相手が個人のお客さまなら気にならず、大企業の調達部門なら効いてくる。会社設立の判断は、この重みづけを自分の事業に当てはめる作業です。読んで迷いが残ったら、実際に取引する予定の相手に聞いてみるのがいちばん早い方法です。
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