青色申告と消費税・インボイス。合同会社の会社設立後の選択を解説
合同会社commit 合同会社FIELD共同編集部が編集しています。合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら執筆しました。金額や期限は執筆時点のものです。

この解説は、合同会社の会社設立を終えて、青色申告や消費税、インボイスの判断をしなければならない人に向けています。どれも期限があり、しかも選択の結果が数年にわたって効いてきます。ここでは制度の内容と、判断するときに見るべき点を示しました。最終的な判断は個別の事情によるので、税理士に相談する前の下地づくりとして読んでください。
青色申告とは何か。会社設立後に受ける承認を解説する

【ここでわかること】
帳簿をきちんと付ける代わりに、税務上の扱いが有利になる制度です。
青色申告は、一定の帳簿を備え付けて記録し、保存することを条件に、税務上の扱いを有利にする制度です。法人の場合、事前に税務署へ申請して承認を受ける必要があります。
承認を受けていない場合は白色申告になります。白色申告でも申告そのものはできますが、青色申告で使える制度が使えません。会社設立の直後は赤字になることも多いので、この差は無視できません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 欠損金の繰越控除 | ある事業年度に生じた欠損金を、一定期間にわたって翌期以降の所得から差し引けます。会社設立の初期に赤字が出た場合、後で効いてきます。 |
| 欠損金の繰戻し還付 | 一定の要件を満たす場合、前期に納めた法人税の還付を受けられる仕組みがあります。 |
| 少額減価償却資産の特例 | 一定額未満の資産について、取得した年度に一括して損金にできる制度です。中小企業者等が対象です。 |
| 各種の特別償却・税額控除 | 設備投資や賃上げに関する制度で、青色申告が要件になっているものがあります。 |
合同会社であっても株式会社であっても、青色申告の扱いは同じです。会社の形によって受けられる制度が変わることはありません。合同会社の会社設立を選んだからといって、税務上の選択肢が狭くなるということはないので、この点は安心してください。
その代わり、複式簿記による記帳と、帳簿書類の保存が求められます。会計ソフトを使うか税理士に頼むのが現実的です。合同会社の会社設立の直後に会計の仕組みを決めておくべきなのは、この点も理由の一つです。
青色申告を選ばない理由はほとんどない
記帳の手間はありますが、法人であれば帳簿はどのみち必要です。青色申告にすることで増える負担は限定的で、得られる扱いのほうが大きくなります。会社設立をしたら、まず青色申告の承認申請書を出すものだと考えて構いません。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):国税庁|C1-19 青色申告書の承認の申請/国税庁
青色申告の承認申請の期限を、会社設立の日から計算して解説

【ここでわかること】
設立から3か月と事業年度末の、早いほうの前日までです。
設立の日の属する事業年度から青色申告の承認を受けようとする場合、提出期限は、設立の日以後3か月を経過した日と、当該事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日までです。
文章にすると分かりにくいので、具体例で考えます。会社設立の日と事業年度の終わりが、どういう関係にあるかで期限が変わります。

| 設立の日 | 事業年度の終わり | 期限になるのは |
|---|---|---|
| 4月1日 | 翌年3月31日 | 3か月を経過した日の前日 |
| 4月1日 | 5月31日 | 事業年度終了の日の前日 |
| 10月1日 | 翌年9月30日 | 3か月を経過した日の前日 |
| 10月1日 | 12月31日 | 事業年度終了の日の前日 |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
1期目を短く設定した場合、期限も早く来るということです。会社設立の日と決算期を決めた時点で、自分の期限がいつになるかを計算してカレンダーに入れてください。
期限を過ぎると1期目は取り戻せない
期限を過ぎて提出した場合、その事業年度からは青色申告の承認を受けられません。2期目からになります。1期目に赤字が出ていても、欠損金を繰り越せなくなります。合同会社の会社設立の直後にやるべきことのなかで、これがもっとも取り返しのつかない期限です。
提出は窓口・郵送・e-Taxのいずれでもできます。手数料はかかりません。書く内容も、商号、本店、事業年度、帳簿の種類といった程度で、難しいものではありません。迷う要素がほとんどないので、法人設立届出書と一緒に出してしまうのが確実です。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):国税庁|C1-19 青色申告書の承認の申請/国税庁
消費税の納税義務を、会社設立の資本金から解説する

【ここでわかること】
設立当初は特別な判定があります。資本金1000万円が線です。
消費税には、小規模な事業者の納税義務を免除する仕組みがあります。ただし新しく設立した法人には基準期間がないため、特別な判定が行われます。
まず見るのが資本金の額です。事業年度開始の日における資本金の額が1000万円以上であれば、その事業年度は納税義務が免除されません。合同会社の会社設立で資本金を1000万円以上にすると、1期目から課税事業者になるということです。
資本金が1000万円未満であっても、ほかの判定に該当すれば課税事業者になります。特定期間の課税売上高や給与支払額による判定、特定新規設立法人の判定などがあります。制度が細かいので、自分の場合にどうなるかは税理士か税務署に確認してください。
| 資本金による判定 | 事業年度開始の日の資本金の額が1000万円以上だと免除されません。 |
|---|---|
| 特定期間による判定 | 前事業年度の上半期の課税売上高や給与支払額が一定額を超えると、翌期は課税事業者になります。 |
| 特定新規設立法人の判定 | 一定の規模の事業者が支配している法人には、別の判定が適用されます。 |
| インボイス登録による選択 | 登録すると、その時点から課税事業者になります。免税を選べなくなります。 |
合同会社の会社設立で資本金をいくらにするかは、この消費税の判定と直結します。登録免許税は857万円程度までは6万円で固定されるので、税金の面だけを見れば1000万円未満に収めるのが有利です。ただし資本金は取引の信用や許認可の要件にも関わるので、消費税だけで決めるものではありません。
この領域は改正が入りやすく、経過措置も設けられています。会社設立の時点でインターネットの情報だけを頼りに判断するのは危険です。国税庁の案内を確認したうえで、判断に迷うなら専門家に相談してください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):国税庁|No.6531 新規開業又は法人の新規設立の場合の納税義務/国税庁
インボイス制度を、会社設立後の判断材料として解説する

【ここでわかること】
登録するかどうかは、取引先が誰かで決まります。
インボイス制度は、仕入税額控除の要件として、適格請求書(インボイス)の保存を求める仕組みです。インボイスを発行できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者に限られます。
登録すると、その時点で課税事業者になります。免税事業者のままではインボイスを発行できないためです。したがって、登録するかどうかは、免税の扱いを手放すかどうかの判断でもあります。
判断の軸は、取引先が誰かという一点です。相手が課税事業者で、仕入税額控除を受けたいと考えているなら、インボイスを求められる可能性が高くなります。逆に、一般消費者や免税事業者が主な相手なら、登録の必要性は下がります。

| # | 登録を検討したほうがよい場合 | 急がなくてよい場合 |
|---|---|---|
| 1 | 取引先が課税事業者の法人 | 一般消費者が主な相手 |
| 2 | 継続的な取引がある | 取引先も免税事業者 |
| 3 | インボイスを求められている | 取引の規模が小さい |
| 4 | 受注の条件になりそう | 当面は様子を見たい |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
会社設立の直後は取引先が固まっていないこともあります。その場合、まずは主な取引先になりそうな相手に確認してみてください。「インボイスは必要ですか」と聞けば、たいてい答えてもらえます。
なお、登録には申請が必要で、登録番号が通知されるまでに一定の時間がかかります。取引の開始に間に合わせたい場合は、余裕をもって申請してください。合同会社の会社設立の直後で、すぐに取引が始まる予定なら、早めに動いておくのが安全です。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):国税庁|インボイス制度の概要/国税庁
免税事業者でいることの損得を、会社設立の視点から解説

【ここでわかること】
納めなくてよい代わりに、取引で不利になることがあります。
免税事業者でいることには、良い面と悪い面の両方があります。
良い面は、消費税を納めなくてよいことです。売上にかかる消費税を預かっても、納付の義務がありません。会社設立の直後で資金が限られている時期には、この差は小さくありません。
悪い面は、インボイスを発行できないことです。取引先が課税事業者の場合、こちらに支払った消費税について仕入税額控除を受けられなくなります。その分、取引先の負担が増えることになります。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 取引先から値引きを求められることがあります。 |
| 2 | 新規の取引で、インボイスを発行できる事業者が選ばれることがあります。 |
| 3 | 継続的な取引で、契約の見直しを求められることがあります。 |
| 4 | 経過措置により、一定期間は控除できる割合が段階的に設けられています。 |
合同会社の会社設立の直後は、取引先との関係がまだ固まっていないことが多いものです。その段階でインボイスの判断を迫られると迷いますが、あとから登録することもできます。まずは様子を見て、必要になった時点で登録するという進め方も現実的です。ただし登録から番号の通知までに時間がかかる点は覚えておいてください。
一方で、設備投資が大きく、支払う消費税のほうが預かる消費税より多くなる場合は、課税事業者を選択して還付を受けるという判断もあります。会社設立の初年度に大きな投資をする予定があるなら、検討する価値があります。
課税事業者の選択には届出が要る
免税事業者が課税事業者になるには、消費税課税事業者選択届出書を提出します。提出の期限があり、いったん選択すると一定期間は免税に戻れないという制限もあります。会社設立の直後に判断する場合は、この点も含めて確認してください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):国税庁|No.6531 新規開業又は法人の新規設立の場合の納税義務/国税庁
判断のために確認することを、会社設立後の実務として解説

【ここでわかること】
取引先、売上の見込み、投資の予定。この3つを整理します。
青色申告は迷う要素がほとんどありませんが、消費税とインボイスは判断が要ります。決めるために確認しておくことを挙げます。
| # | やること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 主な取引先が誰かを整理する | 課税事業者の法人が中心か、一般消費者が中心かで判断が変わります。 |
| 2 | インボイスを求められているかを確認する | 取引先に直接聞くのがいちばん確実です。 |
| 3 | 初年度の売上の見込みを立てる | 課税売上高の水準によって、翌期以降の判定が変わります。 |
| 4 | 大きな投資の予定を確認する | 設備投資が大きいなら、課税事業者を選択して還付を受ける選択もあります。 |
| 5 | 資本金の額を確認する | 1000万円以上なら、選択の余地なく1期目から課税事業者です。 |
| 6 | 事業年度の設定を確認する | 1期目の長さによって、判定の時期が変わります。 |
確認した内容は、紙かデータにまとめておいてください。相談のときにそのまま使えますし、翌期に同じ判断をするときの資料にもなります。合同会社の会社設立の1年目は判断すべきことが多いので、決めた理由まで残しておくと、あとで見直すときに役立ちます。
これらを整理したうえで税理士に相談すると、話が早く進みます。何も整理せずに「どうすればよいですか」と聞くより、状況を伝えたうえで判断を仰ぐほうが、的確な答えが返ってきます。
合同会社の会社設立をしたばかりで、取引先も売上も未確定という段階なら、まず青色申告の承認申請書だけ出しておき、消費税とインボイスは事業が動きはじめてから判断するという進め方もあります。ただし期限があるものは見落とさないでください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):SOVA|法人設立後の青色申告に期限はある?/SOVA
会計の仕組みをどう作るかを、会社設立後の準備として解説

【ここでわかること】
青色申告には帳簿が要ります。最初に決めておきます。
青色申告の承認を受けるには、複式簿記による記帳と帳簿書類の保存が必要です。会社設立の直後に、どうやって記帳するかを決めておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会計ソフトを使う | クラウド型の会計ソフトなら、口座やカードの明細を自動で取り込めます。仕訳の知識がなくてもある程度は進められます。 |
| 税理士に記帳から任せる | 領収書や請求書を渡して、記帳ごと任せる形です。費用はかかりますが、手が空きます。 |
| 自分で記帳して決算だけ頼む | 日々の入力は自分でして、決算と申告を依頼する形です。費用と手間のバランスが取れます。 |
| すべて自分でやる | 会計ソフトの申告機能を使えば可能です。ただし税務調整の判断は自分ですることになります。 |
会社設立の直後は取引が少ないので、どの方法でも回ります。問題は、事業が伸びてから慌てることです。取引が増えてから記帳を始めると、過去にさかのぼる作業が発生します。最初から仕組みを作っておくほうが楽です。
法人口座を開いたら、会計ソフトと連携させておくと記帳の手間が大きく減ります。取引の明細が自動で取り込まれるので、あとは仕訳を確認するだけになります。合同会社の会社設立の直後にやっておくと、その後がずいぶん楽になります。
会計の担当を誰にするかも決めておいてください。一人で合同会社の会社設立をした場合は自分しかいませんが、複数人でやるなら誰が記帳を担当するのかをはっきりさせておきます。曖昧なまま数か月が過ぎると、誰も入力していないという事態になりがちです。月に一度は帳簿を締める、といった運用のルールを最初に決めておくと続きます。
領収書や請求書の保存も忘れないでください。帳簿と一緒に保存する義務があります。紙で保管するか、電子で保存するかは選べますが、電子帳簿保存法の要件に注意が必要です。制度が変わりやすい領域なので、国税庁の案内を確認してください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):マネーフォワード クラウド会社設立|設立後のやることリスト/株式会社マネーフォワード
まとめ|合同会社の会社設立後の選択を整理する

【ここでわかること】
青色申告は必ず。消費税とインボイスは取引先を見て決めます。
この解説の内容をまとめます。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 青色申告は、欠損金の繰越控除などが使える制度です。会社設立をしたら、まず承認申請書を出してください。 |
| 2 | 期限は、設立の日以後3か月を経過した日と事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までです。 |
| 3 | 期限を過ぎると1期目は白色申告になり、取り戻せません。カレンダーに入れておいてください。 |
| 4 | 資本金1000万円以上で会社設立をすると、1期目から消費税の課税事業者になります。 |
| 5 | インボイスの登録をすると、その時点で課税事業者になります。免税を選べなくなります。 |
| 6 | 登録するかどうかは、取引先が課税事業者かどうかで判断します。相手に直接聞くのが確実です。 |
| 7 | 青色申告には複式簿記による記帳が要ります。会社設立の直後に会計の仕組みを決めておきます。 |
この3つは、いずれも合同会社の会社設立の直後に判断することになります。青色申告だけは迷わず出す。消費税とインボイスは、取引先の状況を確認してから決める。この順番で考えれば、大きく外すことはありません。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):国税庁|C1-19 青色申告書の承認の申請/国税庁
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掲載順は優劣ではありません。合同会社に絞ったものと、会社設立全般を扱ったものが混ざっています。必要なほうから見てください。
【最後に】
この3つの選択は、どれも会社設立の直後に決めることになります。青色申告は迷う余地がほとんどないので、まず出してしまってください。消費税とインボイスは、取引先が誰かによって答えが変わります。自分だけで決めきれないと感じたら、その状態のまま税理士に相談してください。何が分からないかが分かっているだけで、相談は十分に進みます。
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