合同会社の基本事項の決め方。会社設立の前に固めることを解説
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この解説は、合同会社で会社設立をすると決めたものの、まだ何一つ具体的に決まっていない段階の人に向けています。書類の書き方を調べる前に、決めなければならないことが6つあります。ここが固まっていないと定款が1行も書けません。それぞれの項目について、何を基準に決めればよいのか、あとで変えるとどうなるのかまで書きました。
会社設立の前に決める6つの基本事項を解説する

【ここでわかること】
商号・本店・事業目的・資本金・事業年度・社員構成。この順で決めます。
合同会社の会社設立で最初にやるのは、書類の準備ではなく決めごとです。定款に書く内容がこの決めごとそのものなので、ここが固まらないと先へ進めません。
決めるのは次の6つです。順番にも意味があります。商号が決まらないと印鑑が発注できず、資本金が決まらないと払い込みができません。上から順に片づけていくのが効率的です。

| STEP | やること | 内容 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 商号と本店を決める | 印鑑の発注と登記できるかの確認に必要 |
| STEP 2 | 事業目的と社員構成を決める | 許認可の有無と誰が出資するか |
| STEP 3 | 資本金と事業年度を決める | 払い込みの額と決算の区切り |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
このうち、商号・本店・事業目的の3つは登記事項です。会社設立のあとに変えるには変更登記が必要で、そのつど登録免許税がかかります。時間をかける価値があるのは、この3つです。
残りの資本金・事業年度・社員構成も重要ですが、性質が少し違います。資本金は登記事項ですが、増やす方向なら比較的動かしやすい項目です。事業年度は登記事項ではなく定款の記載事項なので、変えるには定款の変更が必要ですが登記は不要です。社員構成は、加入や退社があれば登記が必要になります。
決めごとに時間がかかるのは普通のこと
会社設立の手続きそのものは、書類がそろえば数日で終わります。時間がかかるのは、この決めごとの部分です。商号が決まらずに1週間経つ、事業目的の書き方を調べて数日使う。よくあることなので、焦る必要はありません。ただし、決まらないまま印鑑を発注したり書類を作りはじめたりすると、作り直しになります。順番は守ってください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):J-Net21(中小機構)|合同会社の設立手続き/独立行政法人中小企業基盤整備機構
商号の決め方を、会社設立の実務から解説する

【ここでわかること】
使える文字、同一住所の重複、商標。3つを確認します。
商号は会社の名前です。定款にも登記簿にも載り、名刺にも契約書にも使います。感覚で決めてしまいがちですが、確認すべき点がいくつかあります。
「合同会社」を必ず入れる
合同会社は、商号のなかに「合同会社」の文字を入れなければなりません。前に置くか後ろに置くかは自由です。日常的にどう呼ばれたいかで決める人が多いようです。前に置くと会社の形が先に伝わり、後ろに置くと名前の部分が立ちます。
使える文字と記号を確認する
漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字が使えます。記号は、アンパサンド、アポストロフィー、コンマ、ハイフン、ピリオド、中点に限られ、しかも字句を区切る目的で使う場合だけです。先頭や末尾には置けません。会社設立の書類を作る前に、この点は確認しておいてください。
同じ住所に同じ商号がないか調べる
会社法では、同一の本店所在場所に同一の商号を登記することができません。個別の建物ならまず問題になりませんが、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを本店にする場合は、同じ住所に多くの会社が登記されているので確認が必要です。法務局の窓口や登記情報提供サービスで調べられます。
商標の確認も忘れずに
登記が通ることと、その名前を使ってよいことは別の話です。他社が商標登録している名称を使うと、権利の侵害になり得ます。会社設立の前に、特許情報プラットフォームで同じ名称や似た名称が登録されていないかを検索しておいてください。事業が軌道に乗ってから商号を変えることになると、名刺もサイトも作り直しです。
| # | このセクションで扱うこと |
|---|---|
| 1 | 「合同会社」を必ず入れる |
| 2 | 使える文字と記号を確認する |
| 3 | 同じ住所に同じ商号がないか調べる |
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):GVA 法人登記|合同会社の定款の作成方法/GVA TECH株式会社
本店所在地の決め方。自宅・賃貸・バーチャルオフィスを解説

【ここでわかること】
自宅、賃貸、レンタル、バーチャル。それぞれに向き不向きがあります。
本店所在地は、会社の住所として登記されます。誰でも登記事項証明書を取れるので、公開情報になると考えてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自宅を本店にする | 費用がかかりません。ただし自宅の住所が公開されます。賃貸の場合は契約で登記を禁じていることがあるので、貸主への確認が必要です。 |
| 賃貸オフィスを本店にする | 住所を分けられ、業種を問わず使いやすい形です。家賃と保証金がかかるので、会社設立の直後には負担が大きいこともあります。 |
| レンタルオフィス・シェアオフィス | 個室や専有スペースがあるタイプなら、許認可の要件を満たせる場合があります。契約前に登記の可否を確認してください。 |
| バーチャルオフィス | 住所だけを借りる形です。費用は最も安く済みますが、業種によっては許認可の要件を満たしません。金融機関の口座開設でも見られる要素になります。 |
どれを選ぶ場合も、共通して必要なのは「その場所を使う権限があること」です。賃貸物件で法人登記が禁じられているのに登記してしまうと、契約違反になります。会社設立の準備を始める段階で、貸主または管理会社に確認しておいてください。
定款への書き方も選べます。市区町村までにとどめれば、同じ市区町村内で移転しても定款を変えずに済みます。番地まで書くと、移転のたびに定款の変更が必要です。会社設立の直後に引っ越す可能性があるなら、市区町村までにしておくほうが後が楽になります。
本店を移転すると変更登記が必要で、登録免許税がかかります。同じ法務局の管轄内かどうかで金額が変わり、管轄をまたぐ場合は高くなります。会社設立の時点で、当面動かさずに済む場所を選んでおくのが理想です。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):freee|バーチャルオフィスとは?起業時の法人登記と選び方/フリー株式会社
事業目的の決め方。許認可との関係も会社設立の前に確認する

【ここでわかること】
いまやること+近い将来やること。許認可があるなら先に窓口へ。
事業目的は、会社が何をする会社なのかを示します。定款にも登記簿にも載るので、取引先や金融機関が見る項目です。
書き方の基本は、いま実際に行う事業を必ず書き、近い将来始める可能性のある事業も書いておくことです。あとから追加するには変更登記が必要で、登録免許税もかかります。かといって広げすぎると、何をしている会社なのか分かりにくくなります。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | いま行う事業を、具体的な言葉で書きます。抽象的すぎると実体が伝わりません。 |
| 2 | 近い将来に始める可能性が高いものを数個足します。可能性が低いものまで並べる必要はありません。 |
| 3 | 許認可が必要な事業は、監督官庁が求める文言を確認します。書き方を間違えると許可が下りません。 |
| 4 | 末尾に「前各号に附帯関連する一切の事業」を置くのが一般的です。関連する範囲をある程度カバーできます。 |
許認可は会社設立の前に確認する
建設業、産業廃棄物処理業、人材派遣業、古物商、飲食店、旅行業など、許認可が必要な業種は数多くあります。事業目的の書き方だけでなく、資本金の額や事務所の要件が定められていることもあります。会社設立をしてから要件を満たしていないことに気づくと、変更登記や増資が必要になります。所管の窓口に先に問い合わせてください。
金融機関の口座開設では、事業目的と実際の事業内容が合っているかを見られます。目的に書かれていない事業で入金があると、確認の連絡が来ることもあります。逆に、目的に書いてあるのに実体がない事業ばかり並んでいると、それも印象がよくありません。会社設立の時点で、実際にやることと登記簿の記載をそろえておくのが基本です。
分量の目安としては、いまやることを中心に据えて、あわせて5個から10個程度に収まることが多いようです。ただしこれは目安であって、事業の性質によっては少なくても多くても構いません。大事なのは、読んだ人が何をしている会社か理解できることです。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):J-Net21(中小機構)|起業マニュアル/独立行政法人中小企業基盤整備機構
資本金と事業年度の決め方を、会社設立に即して解説する

【ここでわかること】
運転資金から資本金を、繁忙期から事業年度を決めます。
資本金と事業年度は、税務にも実務にも影響する項目です。それぞれ決め方の筋があります。
資本金は運転資金から逆算する
資本金は1円から設定できますが、実務上は最初の入金があるまでの運転資金をまかなえる額にするのが基本です。固定費と初期投資を洗い出し、入金までの月数をかけて計算します。
税金の面では1000万円という線があります。資本金1000万円以上で会社設立をすると、設立1期目から消費税の課税事業者になります。法人住民税の均等割の区分も上がります。特別な理由がなければ、1000万円未満に収めるのが一般的です。
事業年度は繁忙期を避けて決める
事業年度は、設立日から1年以内であれば自由に決められます。3月末にする必要はありません。決算の作業は忙しいので、事業の繁忙期と重ならない時期に置くのが実務的です。

| 項目 | 数字 | 前提 |
|---|---|---|
| 最低資本金 | 1円 | 会社法上の下限 |
| 消費税の判定 | 1000万円 | 以上だと1期目から課税事業者 |
| 登録免許税が固定される範囲 | 857万円 | この程度までは6万円 |
| 事業年度の長さ | 1年以内 | 設立日から自由に決められる |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
事業年度をどこに置くかで、1期目の長さが変わります。設立月の前月末を決算期にすると1期目が最も長くなり、設立月の末日にすると1期目が数日で終わります。1期目を長く取ると、最初の決算までの猶予が生まれます。会社設立の直後は準備が多いので、この猶予はありがたいものです。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社の資本金はいくら必要?/株式会社マネーフォワード
社員構成の決め方。誰が出資して誰が代表になるかを解説

【ここでわかること】
出資する人、業務を執行する人、代表する人。3つの役割を分けて考えます。
合同会社の「社員」は従業員のことではなく、出資者のことです。会社設立の時点で、誰が社員になるのかを決めます。
社員には3つの側面があります。出資する人であること、業務を執行する人であること、会社を代表する人であること。定款に定めがなければ、社員全員がすべてを担います。
| 出資する社員 | お金や財産を出す人です。全員が有限責任社員になります。誰がいくら出すかを定款に書きます。 |
|---|---|
| 業務執行社員 | 実際に会社の業務を行う人です。定款で限定できます。限定しなければ社員全員が業務執行社員になります。 |
| 代表社員 | 対外的に会社を代表する人です。定款や社員の互選で定められます。定めなければ業務執行社員の全員が代表になります。 |
一人で合同会社の会社設立をする場合は、3つとも自分になります。定款に特別な定めを置かなくても問題ありません。話が複雑になるのは、複数人で作る場合です。
複数人の場合、出資はするが業務には関わらない人がいることがあります。この人を業務執行社員から外しておくと、日常の判断が速くなります。また、代表社員を一人に絞っておくと、契約や届出の場面で誰が押印するかが明確になります。会社設立の時点で決めておくと、後の運営が楽になります。
全員一致の原則を意識しておく
合同会社では、定款の変更をはじめとする重要事項は原則として社員全員の同意が必要です。人数が増えて意見が割れると、誰か一人が反対しただけで何も決められなくなります。決議の方法を定款で緩めておくこと、業務執行社員を限定しておくことが、この事態を避ける手段になります。会社設立の段階で話し合っておいてください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):ベンチャーサポート|合同会社はひとりで設立できる/ベンチャーサポート税理士法人
決めた基本事項を書面に落とす。会社設立の次の工程を解説

【ここでわかること】
定款、決定書、就任承諾書。決めごとがそのまま書類になります。
6つの基本事項が決まったら、それを書面に落としていきます。決めたことがそのまま書類の内容になるので、決めごとが固まっていれば作業は速く進みます。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 定款を作ります。商号・本店・事業目的・社員・出資が絶対的記載事項として入ります。事業年度や業務執行社員の定めもここに書きます。 |
| 2 | 本店所在地を定款で市区町村までにした場合は、具体的な所在場所を定める決定書を作ります。 |
| 3 | 代表社員を定款で定めていない場合は、社員の互選で決めた書面と就任承諾書を作ります。 |
| 4 | 資本金の額を決めたら、定款の作成日以降に代表社員の個人口座へ払い込み、払込証明書を作ります。 |
| 5 | 登記申請書を作り、これらを添付して法務局へ提出します。 |
書類の名前が多くて混乱しやすいところですが、どれも決めたことを紙に写しているだけです。定款で定めた事項が多いほど、別に作る書面は少なくなります。逆に定款をあっさり作ると、決定書や就任承諾書が増えます。どちらでも会社設立はできるので、作りやすいほうを選んでください。
書類の日付にも順序があります。定款の作成日、代表社員の就任日、払い込みの日、申請の日。この並びがおかしいと補正の対象になり得ます。決めごとが固まってから一気に書類を作るほうが、日付の管理がしやすくなります。
決めた内容はメモにまとめておく
6つの基本事項を1枚のメモにまとめておくと、書類を作るときにも、設立後の届出のときにも役立ちます。税務署や年金事務所への届出でも、同じ情報を何度も書くことになるからです。会社設立の準備の最初に作っておくと、あとで探し回らずに済みます。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):弥生|合同会社の設立・登記に必要な書類一覧/弥生株式会社
まとめ|合同会社の会社設立で基本事項をどう固めるか

【ここでわかること】
登記事項になる3つに時間をかける。あとは筋道どおりに決める。
この解説の内容をまとめます。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 会社設立の前に決めるのは、商号・本店・事業目的・資本金・事業年度・社員構成の6つです。 |
| 2 | 商号には「合同会社」を入れます。使える文字と記号、同一住所の重複、商標の3点を確認します。 |
| 3 | 本店は、その場所を使える権限があることが前提です。自宅・賃貸・レンタル・バーチャルで向き不向きが違います。 |
| 4 | 事業目的は、いまやることと近い将来やることを書きます。許認可がある業種は先に窓口で確認します。 |
| 5 | 資本金は運転資金から逆算します。1000万円以上にすると1期目から消費税の課税事業者になります。 |
| 6 | 事業年度は繁忙期を避けて決めます。1期目の長さもここで決まります。 |
| 7 | 社員構成は、出資・業務執行・代表の3つの役割に分けて考えます。複数人なら定款で整理しておきます。 |
このうち商号・本店・事業目的は登記事項なので、あとから変えるには登記と登録免許税がかかります。合同会社の会社設立で時間をかけるべきなのは、書類の書き方よりもこの3つの検討です。ここが固まれば、あとの作業は淡々と進みます。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):創業手帳|合同会社の設立方法を徹底解説/創業手帳株式会社
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
並べた順番は優劣ではありません。どれが上ということはなく、合同会社の会社設立を別の角度から解説しているページを集めています。
【最後に】
基本事項を決めるのは、書類を書くより時間がかかります。しかも正解がない項目ばかりです。それでも、ここで悩んだ時間は無駄になりません。会社設立のあとに商号や本店を変えると、そのつど登記と登録免許税がかかるからです。決めきれない項目が残ったら、その項目だけを持って専門家に相談してみてください。第三者の視点が入ると、あっさり決まることがあります。
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