合同会社の資本金はいくらにするか。会社設立で金額を決める考え方を解説
合同会社commit 合同会社FIELD共同編集部が編集しています。合同会社FIELDの関連会社である会計事務所および税理士法人と内容を確認しながら執筆しました。金額や期限は執筆時点のものです。

この解説は、合同会社で会社設立をすることは決まっていて、資本金の額をどうするかで手が止まっている人に向けています。1円から作れるという話は知っていても、では実際にいくらにすればよいのかという問いには誰も答えてくれません。ここでは金額そのものではなく、金額を決めるための見方を示します。自分の事業に当てはめて、自分で決められる状態になることを目指しました。
合同会社の資本金とは何か。会社設立での意味を解説する

【ここでわかること】
出資したお金の額であり、会社の元手です。使ってはいけないお金ではありません。
資本金とは、社員が会社に出したお金の額です。合同会社の会社設立では、社員が出資した金額の合計が資本金になります。この金額は登記され、誰でも見られる情報になります。
よくある誤解が、資本金は会社に置いておかなければならないお金だというものです。そうではありません。資本金として払い込んだお金は、会社設立の登記が終わったあと、会社の運転資金として自由に使えます。設備を買うのにも、家賃を払うのにも使えます。
資本金が表しているのは、会社が事業を始めるときにどれだけの元手を用意したか、という記録です。事業が進めば預金は増えたり減ったりしますが、資本金の額そのものは登記された数字として残り続けます。だから外から見たときに、その会社がどのくらいの規模で始めたのかを推し量る材料になるのです。
資本金は減らすのも増やすのも手続きが要る
会社設立のあとで資本金を増やす場合は増資、減らす場合は減資という手続きになります。いずれも登記が必要で、登録免許税もかかります。減資については債権者保護の手続きも必要で、簡単には動かせません。会社設立の時点で無理のない額にしておくほうが、後の手間が少なくて済みます。
合同会社の場合、資本金と混同しやすいものに「資本剰余金」があります。出資された額のうち、資本金に組み入れない部分をこちらに回すこともできます。ただし合同会社の会社設立では、出資額の全額を資本金にするのが一般的です。分ける必要が出てくるのは、資本金の額を一定以下に抑えたい事情があるときです。
| # | 要点 |
|---|---|
| 1 | 資本金とは、社員が会社に出したお金の額です。合同会社の会社設立では、社員が出資した金額の合計が資本金になります。この金額… |
| 2 | よくある誤解が、資本金は会社に置いておかなければならないお金だというものです。そうではありません。資本金として払い込んだ… |
| 3 | 資本金が表しているのは、会社が事業を始めるときにどれだけの元手を用意したか、という記録です。事業が進めば預金は増えたり減… |
| 4 | 合同会社の場合、資本金と混同しやすいものに「資本剰余金」があります。出資された額のうち、資本金に組み入れない部分をこちら… |
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):freee|合同会社の資本金はいくら必要?/フリー株式会社
1円で会社設立できるのは本当か。制度と実務の差を解説

【ここでわかること】
制度上は可能です。ただし実務でどう見られるかは別の話です。
会社法には最低資本金の定めがありません。かつては株式会社に1000万円、有限会社に300万円という規制がありましたが、いまはなくなっています。したがって、資本金1円でも合同会社の会社設立はできます。
ただし、制度上できることと、実務上うまくいくことは別です。資本金1円で会社設立をした場合に何が起きるかを、具体的に見ておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法人口座の開設で不利になりやすい | 金融機関は、会社の実体を確認したうえで口座を開きます。資本金が極端に少ないと、事業の裏付けを説明する材料が一つ減ることになります。 |
| 取引先の与信で見られる | 登記事項証明書を取れば資本金の額は誰でも分かります。継続的な取引を始めるとき、相手が見る項目の一つです。 |
| 融資の審査で説明が要る | 自己資金がどれだけあるかは、創業融資の審査で重視される点です。資本金が少ないと、そこを別の形で説明する必要が出ます。 |
| 許認可の要件を満たさないことがある | 業種によっては、財産的基礎として一定の金額が求められます。建設業や人材派遣業などが該当します。 |
| 会社設立の費用は安くならない | 登録免許税は資本金が857万円程度までは6万円で固定です。資本金を下げても、会社設立にかかるお金は変わりません。 |
つまり、資本金を1円にしても会社設立の費用は下がらず、実務上の不利だけが残るということになります。手元にお金がないから1円にするという判断は、あまり合理的ではありません。用意できる範囲で、意味のある金額を入れておくほうが後々楽です。
ただし、資本金が少ないこと自体が悪いわけではありません。小さく始めて、事業が回りはじめてから増資するという進め方もあります。大事なのは、その金額にした理由を自分で説明できることです。金融機関や取引先に聞かれたときに、理由を答えられれば問題になりません。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):起業ログ|合同会社の資本金はいくらに設定すべき?/株式会社ウィルゲート
資本金の額で税金がどう変わるかを解説する

【ここでわかること】
1000万円という線があります。消費税と均等割の両方に効きます。
資本金の額を決めるときに、税金の面から必ず意識すべき数字があります。1000万円です。
消費税の納税義務
新しく設立した法人は、基準期間がないため、設立当初の消費税の納税義務について特別な判定が行われます。このとき、事業年度開始の日における資本金の額が1000万円以上であれば、その事業年度は納税義務が免除されません。つまり、資本金1000万円以上で会社設立をすると、1期目から消費税の申告と納税が必要になります。
この判定にはほかにも要件があり、特定期間の課税売上高や給与支払額による判定、特定新規設立法人の判定など、複数の入口があります。さらにインボイス制度の登録をしている場合は、そもそも課税事業者を選んでいることになります。ここは制度が細かく改正も入りやすい領域なので、必ず国税庁の案内と税理士の確認を取ってください。
法人住民税の均等割
法人住民税の均等割は、所得がゼロでも支払う税金です。金額は資本金等の額と従業員数の区分で決まり、資本金1000万円を超えると区分が上がります。赤字でも毎年かかるものなので、会社設立の時点で資本金を大きくしすぎると、固定費として効いてきます。

| 項目 | 数字 | 前提 |
|---|---|---|
| 消費税の判定 | 1000万円 | 以上だと設立1期目から課税事業者 |
| 登録免許税 | 857万円 | この程度までは6万円で固定 |
| 均等割の区分 | 1000万円 | 超えると区分が上がる |
| 最低資本金 | 1円 | 会社法上の下限 |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):国税庁|No.6531 新規開業又は法人の新規設立の場合の納税義務/国税庁
運転資金から資本金を決める方法を、会社設立に即して解説

【ここでわかること】
売上が入るまでの期間を、いくらでしのぐか。ここが実務の基準です。
資本金の額を決める方法として、いちばん実務的なのは運転資金から逆算するやり方です。
考え方は単純で、事業を始めてから最初の入金があるまで、いくら必要かを計算します。仕入れがある業種なら仕入代金、事務所を借りるなら家賃と敷金、人を雇うなら給与。これらを何か月分か用意しておく必要があります。売掛金の回収に2か月かかる商売なら、少なくとも3か月分は見ておくことになります。
| # | やること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 毎月の固定費を洗い出す | 家賃、通信費、システムの利用料、社会保険料の会社負担分など、売上がなくても出ていくお金です。 |
| 2 | 初期投資を洗い出す | 設備、什器、パソコン、ソフト、保証金など、最初にまとまって出ていくお金です。 |
| 3 | 入金までの期間を見積もる | 仕事をしてから代金が入るまでの日数です。業種によって大きく違います。 |
| 4 | 合計して余裕を足す | 固定費×入金までの月数+初期投資。これに想定外の分を上乗せします。 |

| STEP | やること | 内容 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 固定費を数える | 家賃・通信・システム・社会保険の会社負担 |
| STEP 2 | 初期投資を数える | 設備・什器・保証金・ソフトの購入 |
| STEP 3 | 入金までの月数をかける | 仕事をしてから代金が入るまでの期間 |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
この計算で出た金額が、会社設立の時点で会社に入れておきたいお金です。全額を資本金にする必要はなく、一部を役員からの借入という形にすることもできます。ただし借入にすると返済の義務が生じるので、あとで役員報酬との兼ね合いで扱いが面倒になることもあります。
実務では、100万円から300万円あたりに設定する合同会社が多いようです。この範囲なら登録免許税は6万円で固定され、消費税の判定にも引っかからず、法人口座の開設でも極端に不利にはなりません。ただしこれはあくまで一般的な傾向であって、自分の事業の運転資金を計算した結果とは別のものです。数字を鵜呑みにせず、必ず自分で計算してください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):マネーフォワード クラウド会社設立|合同会社の資本金はいくら必要?/株式会社マネーフォワード
許認可がある業種の資本金。会社設立の前に確認すべきこと

【ここでわかること】
財産的基礎として金額が定められている業種があります。
業種によっては、許認可の要件として一定の財産的基礎が求められます。この場合、資本金の額は自由に決められません。
たとえば建設業の許可には財産的基礎の要件があり、一般建設業と特定建設業で水準が違います。人材派遣業(労働者派遣事業)にも資産に関する要件があります。旅行業も、種別によって基準資産額が定められています。こうした業種で会社設立をする場合、資本金の額を要件に合わせて設定する必要があります。
あとから増資すると余計な費用がかかる
会社設立のあとで資本金が足りないことに気づき、増資して要件を満たすという進め方もできます。ただし増資には登記が必要で、増加した資本金の額に応じた登録免許税がかかります。最初から要件を確認して、必要な額で会社設立をしておくほうが安く済みます。許認可が要る業種は、資本金を決める前に所管の窓口へ確認してください。
許認可の要件は、資本金の額そのものではなく「純資産額」や「基準資産額」で定められていることもあります。この場合、資本金を積んでいても、開業までに使ってしまえば要件を満たさなくなる可能性があります。どの時点の何を見るのかまで含めて確認しておくことが大切です。
また、許認可の要件は制度改正で変わることがあります。インターネットで見つけた情報が古い可能性もあるので、会社設立の準備を始める段階で、所管官庁の最新の案内を確認するようにしてください。行政書士に相談すれば、要件の確認から申請まで一緒に見てもらえます。
| # | 要点 |
|---|---|
| 1 | 業種によっては、許認可の要件として一定の財産的基礎が求められます。この場合、資本金の額は自由に決められません。… |
| 2 | たとえば建設業の許可には財産的基礎の要件があり、一般建設業と特定建設業で水準が違います。人材派遣業(労働者派遣事業)にも… |
| 3 | 許認可の要件は、資本金の額そのものではなく「純資産額」や「基準資産額」で定められていることもあります。この場合、資本金を… |
| 4 | また、許認可の要件は制度改正で変わることがあります。インターネットで見つけた情報が古い可能性もあるので、会社設立の準備を… |
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):J-Net21(中小機構)|起業マニュアル/独立行政法人中小企業基盤整備機構
出資の方法。現金以外で出資する場合も解説する

【ここでわかること】
現物出資という方法があります。手続きは増えます。
資本金は現金で払い込むのが基本ですが、物で出資することもできます。これを現物出資といいます。
たとえば、個人で使っていたパソコンや車両、機材などを会社に出資する形です。個人事業から合同会社へ法人成りする場合には、この方法を検討する場面が出てきます。手元の現金を減らさずに資本金を積めるという利点があります。
| 出資できるもの | 金銭以外の財産で、価値を評価できるものです。パソコン、車両、機材、不動産、有価証券などが該当します。 |
|---|---|
| 価額の評価 | 時価で評価します。中古品なら中古市場の相場を参考にします。根拠を示せる資料を残しておいてください。 |
| 必要になる書類 | 財産引継書や、資本金の額の計上に関する証明書などが必要になります。会社設立の登記に添付します。 |
| 税務上の扱い | 個人から法人への譲渡として扱われるため、譲渡所得の対象になり得ます。金額が大きい場合は税理士に確認してください。 |

| # | 確認すること | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 最初の入金までの運転資金を計算したか | 固定費と初期投資を洗い出す |
| 2 | 消費税の判定を確認したか | 1000万円以上だと1期目から課税事業者 |
| 3 | 許認可の財産要件があるか | 業種によっては金額が決まっている |
| 4 | 法人口座を開く金融機関の傾向を見たか | 資本金は審査で見られる項目の一つ |
| 5 | 増資・減資の手間を理解したか | あとから動かすには登記が必要 |
※金額と期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。最新の取扱いは所管官庁でご確認ください。
現物出資は書類が増え、評価の根拠も求められるので、会社設立の手続きとしては手間が増えます。金額が小さいなら、いったん現金で出資して、会社が個人からその物を買い取るという形にするほうが単純です。どちらが得かは金額と状況によるので、迷ったら専門家に聞いてください。
なお、株式会社では現物出資の額が一定の水準を超えると検査役の調査が必要になるといった規制があります。合同会社の会社設立ではこうした規制の形が異なるため、扱いやすい面もあります。ただし価額を不当に高く評価すれば、それはそれで問題になります。適正な評価を心がけてください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(一次情報):法務省|合同会社の設立手続について/法務省
資本金を決めたあとの手続きを、会社設立の流れに沿って解説

【ここでわかること】
定款に書き、代表社員の口座へ払い込み、証明書を作ります。
資本金の額が決まったら、会社設立の手続きに落としていきます。順番があるので確認しておきましょう。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 定款に、社員それぞれの出資の目的と価額を書きます。合同会社の定款では絶対的記載事項です。 |
| 2 | 定款を作成した日以降に、代表社員の個人口座へ払い込みます。この時点では法人口座がまだありません。 |
| 3 | 通帳の表紙、口座番号と名義の見える面、入金が記帳されたページをコピーします。 |
| 4 | 払込みがあったことを証する書面(払込証明書)を作り、会社実印を押します。 |
| 5 | コピーと綴じて契印をし、登記申請書に添付します。 |
気をつけたいのは、すでに口座にある残高を資本金として扱えないという点です。振り込んだ記録が残っている必要があります。自分ひとりで会社設立をする場合も、自分の口座から自分の口座へ振り込むか、いったん引き出して入金し直すという手順を踏みます。
また、払い込みは定款の作成日以降に行うのが原則です。先に振り込んでしまうと、日付の順序が合わなくなり補正の対象になり得ます。資本金の額を決めてから定款を作り、定款ができてから払い込む。この順を守ってください。
登記が終わって法人口座を開いたら、代表社員の個人口座に入れた資本金を会社の口座へ移します。この移動の記録も残しておいてください。会社設立の直後は個人と会社のお金の区別があいまいになりやすいので、最初にきちんと分けておくと、あとの経理が楽になります。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):freee|合同会社を設立する流れとは?/フリー株式会社
まとめ|合同会社の会社設立で資本金をどう決めるか

【ここでわかること】
運転資金・税金の境目・外からの見え方。この3つで絞ります。
この解説の内容をまとめます。
| # | 内容 |
|---|---|
| 1 | 資本金は出資されたお金の額で、登記されて公開されます。使ってはいけないお金ではありません。 |
| 2 | 会社法上は1円から会社設立ができますが、口座開設や与信の面で不利になりやすく、費用も安くなりません。 |
| 3 | 資本金1000万円以上で会社設立をすると、設立1期目から消費税の課税事業者になります。均等割の区分も上がります。 |
| 4 | 登録免許税は資本金857万円程度までは6万円で固定です。それを超えると資本金×1000分の7になります。 |
| 5 | 実務的には、最初の入金までの運転資金から逆算するのが分かりやすい決め方です。 |
| 6 | 許認可が要る業種は、財産的基礎の要件を先に確認してから金額を決めます。 |
| 7 | 現金以外で出資する現物出資という方法もありますが、書類と評価の手間が増えます。 |
資本金の額に唯一の正解はありません。ただ、なぜその金額にしたのかを自分で説明できる状態にしておくことは大切です。金融機関でも取引先でも、聞かれたときに理由を答えられれば十分に通ります。合同会社の会社設立を進めるなかで、この点だけは自分の言葉にしておいてください。
※金額・期限は執筆時点(2026年8月)の制度にもとづく目安です。
出典(解説):弥生|合同会社の資本金(出資金)はいくらがよい?/弥生株式会社
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
順番は優劣ではありません。会社設立の進み具合によって役立つページは変わるため、いまの段階に近いものから読むのがおすすめです。
【最後に】
資本金の額に正解はありませんが、決め方には筋があります。最初の運転資金をまかなえること、消費税の判定を意識すること、取引や口座で見られることを踏まえること。この3つを自分の数字に当てはめれば、おのずと範囲が絞れます。決めきれないときは、税理士に一度相談してみてください。会社設立の前なら、まだいくらでも調整がききます。
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